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1.ネオセルフ理論の種々の自己免疫疾患への応用ネオセルフ理論とは 

HuLA immuneでは、創薬スクリーニングに関する特許に基づき以下の疾患に関する研究開発を展開しており、業務提携先を求めております。

抗リン脂質抗体症候群 (APS)

APSは、血液の凝固等に関係するβ2GPIに対する自己抗体が産生されることで、血栓症や不育症を起こす病気とされています。

臨床症状からAPSの疑いがあるにもかかわらず、現行の診断法(aPL)では自己抗体が検出されない患者さん(sero-negative APS)においてβ2GPIとHLA-DRの複合体(β2GPIネオセルフ抗原)に対する自己抗体(β2GPIネオセルフ抗体)が高頻度に検出されることが明らかとなりました。特に、不育症の患者さんの23%がβ2GPIネオセルフ抗体陽性であり、これは不育症の中で最も比率が高い原因となっています1)
また、β2GPI/HLA DR複合体に対する自己抗体検査は、一つの指標であるにもかかわらず、五つの指標による現行診断法で陽性となるAPS患者さんの約84%をカバーするというデータが得られております2)

さらに、最近の知見では、COVID-19感染における重症化(血栓症誘発)との関連性が指摘されており、HLA-DR がウイルス感染症によって誘導される知見があることから、β2GPIネオセルフ抗体の関与について検討を進めております3)

上記のようなエビデンスに基づき、HuLA immuneでは、

① 本年1月からこのβ2GPIネオセルフ抗原を用いたネオセルフ抗体検査の受託業務(研究用)を行っています。 Products & Services    

更に、β2GPIネオセルフ抗原がAPSの病態に深くかかわっていることから、

② 膜たんぱく質であるHLAクラスⅡとβ2GPIの複合体に対する抗体を取得するオリジナルの技術を確立し、β2GPIネオセルフ抗原とβ2GPIネオセルフ抗体の結合を阻害する治療薬の候補物質を取得し、前臨床評価を進めています。抗原特異的に免疫反応を修飾することで、現状では対症療法しかない病気の治癒を達成いたします。

文献
1) Tanimura K et al. Arthritis. Rheumatol 2020      Link     
2) Tanimura K et al. Blood 2015      Link     
3) El Hasbani G et al. Clin Med Insights Arthritis Musculoskelet Disord 2020      Link     


MPO-ANCA血管炎

MPO-ANCA血管炎は、抗好中球細胞質ミエロペルオキシターゼに対する自己抗体(MPO-ANCA)が原因で、細かな血管に炎症反応をもたらす病気として知られています。
ANCA関連血管炎においても、MPO/HLA-DR複合体(MPOネオセルフ抗原)に対する自己抗体が患者さんに存在していることが明らかになっています4)

HuLA immuneでは、 MPOネオセルフ抗原とMPOネオセルフ抗体の結合を阻害する医薬品の創薬スクリーニングを実施しています。


1型糖尿病

1型糖尿病では膵臓のランゲルハンス等からのインシュリンの分泌に障害が出る前に自己抗体の存在が認められており、この病気の発症及び進展のプロセスにネオセルフ抗原/抗体が関与しているものと考えています。

HuLA immuneでは糖尿病マウスモデルにおいて治療効果を示す抗体を既に取得しており5)、このマウスでの成果を応用することにより、1型糖尿病治療薬の創製を進めています。

文献
4) Hiwa R et al. Arthritis Rheumatol. 2017      Link     
5) Matsumoto Y et al. BBRC 2021      Link     

2.COVID-19の新たな感染増強抗体(AMED採択テーマ)感染増強抗体について 

COVID-19における新たな感染増強抗体の発見に基づき、感染増強抗体測定法の確立ならびに感染増強抗体を誘発しない、より安全性能に優れた改良型ワクチン技術として、研究開発を進めています。なお、 COVID-19への対応は社会的に最優先の課題であるため、業務提携等を積極的に行い、迅速な事業展開を図っています。

感染増強抗体測定法

HuLA immuneと大阪大学の荒瀬 尚教授の研究グルーブは、 COVID-19の患者さん由来の抗体において、SARS-Cov2のSpikeタンパクのN末領域(NTD)に対する抗体の中に、感染を増強させる抗体が存在することを報告しました6)。 感染増強抗体はSタンパクのレセプター結合領域(RBD)の受容体ACE2への 結合を顕著に増強させることでウイルスの感染性を促進する作用があり、この発見はSARS-CoV-2の抗体依存性感染増強(ADE)メカニズムを世界で初めて明らかにしたものとなります。

血清中の感染増強抗体の測定は、 COVID-19における新規の重症化マーカーあるいはワクチン接種対象者の選別手段としての応用が期待されることから、HuLAimmune独自の検査法として開発を進めています。同時にAMED研究において、臨床での感染増強抗体測定の位置づけを明らかにしていきます。また、 COVID-19に罹患したことのない健常人においても、過去の別のウイルス感染が原因と思われる陽性者が存在することも見出されており、その意義・リスクの評価も実施予定としております。


改良型ワクチン技術

上記の感染増強抗体のエピトープを修飾することにより、感染増強抗体を誘導しない、より安全性の高いワクチンを作製することが可能となります(特許出願済)。本技術は、Spikeタンパクを包含している種々のモダリティのワクチンに適用可能なため、ワクチンメーカーへの導出を基本に事業展開を図っていきます。

文献
6) Liu et al. Cell 2021      Link     

当社では「ヒト細胞を用いた研究」を適正に実施するため、国の基本指針(「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」等)に基づき、研究倫理審査員会を設置し、各研究計画の倫理的及び科学的妥当性を厳正に審議しております。

委員会規則や委員会名簿及び議事の概要などは、厚生労働省の倫理委員会報告システムを通じて公表します。